【産業医の実際】第一線で働く現役の専属産業医にインタビューしてきました(後編)

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現役の専属産業医にインタビュー(後編)

株式会社パソナの遠藤 千恵(えんどうちえ)です。11月にお伝えした専属産業医・T先生のインタビューの後編です。前回のインタビュー記事はコチラからご参照ください。
https://doctors-hub.herokuapp.com/interview

今回は、産業医として働くT先生のパーソナルな部分に迫ります。実はこのT先生、以前は海外で働いていたこともあるそうですよ。

 

産業医の仕事と母の役割を両立する壮絶さ

パソナ遠藤:ところで、先生はなぜ医師を目指そうと思われたのですか?

子供の頃からアナフィラキシーショックで入院したり病院にかかることが多かったこともあって、お医者さんとか看護師さんを身近に感じていました。高校1年の時には靭帯を切ってしまい手術に。麻酔がうまくコントロールできず、かかりすぎてしまったんです。その経験から、ぼんやりと「麻酔」に興味を持ち始めました。でも、産業医科大学に入学後には、麻酔科には進みませんでした。人と話をするのが好きで、ゆっくり人と関わることができる科に進みたいと思っていたので、麻酔科は合わないなぁと。

 

パソナ遠藤:その後に産業医の道を選んだのはどうしてですか?

卒業後に急性期病院の研修を経て、産業保健に携わっていますが、実は、医学部の受験を決めたときには「産業保健」のこと自体、ほとんど知りませんでした。経済的な事情もあって私立大学には入ることができない状況だったので国公立の医学部に入ることが重要でした。 センター試験が終わって、どこに出願できるかなと考えたときに「産業医科大学っていいんじゃない?」と話が出た頃から初めて「産業医」のことを意識しました。
パソナ遠藤:先生は6人のお子さんがいらっしゃると伺っていますが、仕事と育児の両立はご苦労されているのでは…?
そうですね。夫とか友人に助けてもらうこともありました。研修医の時には娘を医局に連れてきたこともありましたね。研修医としてスタートするときに子供が既にいたので病院内の保育園を特別に利用させていただいたりしてました。研修後に専属産業医として企業で働きだした時が大変で、地域の保育園に入るための「保活」をしていました。見学に10件以上行って、たまたまのタイミングでやっと見つかりました。

 

パソナ遠藤:保育園のお迎えとか「時間との勝負」みたいなことも…。

時間管理は大事ですね。意識してやっています。分刻みというと言い過ぎかもしれないですけど、放課後は5分とか10分のズレが後々の大きなズレになるので計画を立てて動くようにしています。

 

パソナ遠藤:起きてから寝るまでの1日のスケジュールもスゴイでしょうね。

6時半に起きて、自分の身支度と子供たちの準備。7時に子供たちを起こし、ゴミを出して7時40分には車で出発。まず保育園で子供2人を降ろして、夫を駅に送る。次に子供4人を学校に送って、会社に着くのが大体8時くらいですね。

 

パソナ遠藤:起きてから1時間半でお子さんと旦那さんを送って出社まで…。座る暇もないくらいの勢いですね。

家から保育園まで2~3分なんですけど、時間短縮しないといけなくて。行きは夫が家から運転して、私が5番目の子を抱っこ、1番下の1歳を長女が抱っこして、2人で保育園に降りるんです。ちょっとした時間のロスが無いように事前にシミュレートしてるんです。15時半までの勤務ですが、その頃に子供たちの学校も終わるので迎えに行って、それぞれのお稽古に送って。その後すぐに一瞬だけ家に帰って、子供たちの学校の荷物を片付け、お風呂洗ってご飯炊いて…18時くらいに保育園のお迎え巡り。

家に帰って、おっぱいあげて、そこからご飯を作り始めて、19時半くらいからご飯を食べ始める。子供たちに先に食べさせて、その間に片付けとか洗濯。子供たちがご飯を食べ終わったら、私が食べながら子供たちにも宿題させたり、宿題のマル付け、翌日の準備をしつつ…。子供たちを寝かせて洗い物したりで気づいたら23時くらい。おチビに添い寝しながらメールやニュースをチェックしてるとだいたいそのまま寝落ちしちゃいますね。

 

パソナ遠藤:先生自身の時間ってほとんど取れませんよね…?

お稽古事を待っている間の40分くらいでマッサージに行ったり、出社後の朝20分だけ、コーヒーを誰にも邪魔されずに飲んだり、そういうときが至福の時ですね。旅行も好きなので、次の休みにどこに行こうか計画を考えてます。

 

パソナ遠藤:そういえば、先生はミャンマーでも働いてましたよね?

産業医の勤務後にミャンマーの診療所へ

そのときは診療所で、産業保健ではなく臨床に携わっていました。元々、ミャンマーで働く予定ではなかったのですが、夫の海外赴任に帯同することになり、本当にたまたまです。その当時は研修医と変わらない知識だったんですが、日本と違ってミャンマーでは「家庭医」みたいな形なんですよ。ちょっとした困りごとで、医療系の人に聞きたいけど聞けないという特に日本人の方がいらっしゃいました。

ミャンマーのプライマリケアでは、小さな傷を縫うなど外科系のことから研修医時代以来というようなこともありましたし、産婦人科のケアとか小児を診るとか、かなりの頻度で迫られるので猛勉強しました。日本語の教科書だけでは対応しきれないことも沢山あって、英語の教科書とかを読み漁り、仲間から情報を収集したりして勉強して、実際にはこうやっていくんだというのを学んでいきました。

 

臨床医としての自信をつけた診療所勤務

臨床の先生に比べると「医者なんだけど医者じゃない」みたいな負い目じゃないですけど、ちょっとあると思います。ミャンマーでは少し臨床という部分に自分も携わることができて、自分も自信を持てる機会になったと思います。診療所には基本的に海外旅行の方とか海外赴任・出張で来られる方が多いので、そこが意外と産業保健という分野に結びつけられるんですよね。その時にはそうあまり感じなかったのですが、診療所の勤務の中で企業の人事系の方とかが見学にいらっしゃるんですよ。

そういった触れ合いもあったので、自分の世界自体も広がったんだなと。そもそも「産業保健で何を得意にしていくのか」ということも当時は全然見えてなくて考えてもいなかったんですけど、ミャンマーに行ったことで、海外をフィールドにした診療を自分の得意分野とできるのかもしれないと思いました。ミャンマーで働いた2年間は、私にとって本当に転機でしたね。

 

パソナ遠藤:私生活もパワフルですが、仕事の上でも先生はエルネギッシュですね。また機会がございましたらお伺いさせていただければと思います。

 

 

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